「 語る力 」 使徒言行録4:13~22
「わたしたちは、見たことや聞いたことを話さないではいられないのです。」 20節
みなさまは、ご自分の思っていることを、かなり素直に言葉に出している方(ほう)でしょうか?
最近、わたしはイエスさまが以下のように言っておられたということを知っとても嬉しかったです。
「自分のなかにあるものを表現すれば それはあなたを救うでしょう。
しかし、自分のなかにあるものを表現しなければそれはあなたを
壊してしまうでしょう」 イエス トマス福音書
言いたいことを言えていないと病気になりますよ、とおっしゃっておられるのです。 使徒言行録はイエスが殺されたのち、復活してしばらく地上におられてから天に帰った後に、弟子たちがどんな歩みをしたかを記録した書物です。
人はどうしても語りたいことを語るようになっています。
殺されることを覚悟で弟子たちはイエスのなさったこと、自分たちが経験したことを人びとに伝えていました。これは秘儀ですから、ふつうの人には知らせません、という出し惜しみをしたわけではありません。
精神疾病の治療も薬だけによるのではなく、例えばフィンランドから始まった「オープンダイアログ」のように患者を囲んで家族、医療者、カウンセラーなどが一座になって語り合う療法も、語る力を信じて使うやり方です。
3日の韓国で起きた大統領による非常戒厳令の発令は、民主化を勝ち取って、44年間発令されないでいた中で起きた驚くべきことです。民主主義を壊し、独裁への道を開くことです。数時間後、すぐさま取り消されたとしても、民衆は黙っていないでしょう。 制させられても話さざるをえなかっただろうことを語った弟子がいたゆえに福音は私たちの下へと届いたのです。神の愛は塞がれません。