「 広い心で 」 Ⅱコリント6:11~13

「 わたしたちはあなたがたに率直に語り、心を広く開きました。」 11節

「 広い心で 」などとひらったい表現の箇所は聖書にそんなに多くありません。

 12節では、「わたしたちはあなたがたを広い心で受け入れていますが、あなたがたは自分で心を狭くしています。」そうとう腹がたっている表現です。

 中井久夫先生 (1934~2022年8月88才で帰天。)
を知っていますか京大法学部から医学部に転部、32才で精神科医になりました。
 精神科医で作家、翻訳もしておられ、多くの著作を残しておられます。
それだけではなく、医師として、どれだけの愛を統合失調症の人たちに注いでいたか。統失研究の第一人者で、1970年代から 対話手法で改善することを言っていました。(今でいうオープン ・ダイアログ です)

 先生の目指すことをどれだけの人が理解しただろうかと、今の日本の精神科医療の貧しさがあまり変わっていないので、疑いたくなります。

生きておられた時よりも、帰天された後にその偉大さは広く知られ、NHKでは「100分 で名著 」 中井久夫 スペシャル が 放映 されました。 2022年 12月 。
たとえば「『 心の産毛 』を守り育てる」ということをしました。やわらかに治すことを目指していました。 治る可能性を信じて患者に向き合っていました。

かりに就職がうまくゆかなくてすぐ辞めても「まだ早いか、きみにアワないことがわかったから、『実験は成功だ』」と言い 、決して、患者をおとしめることなく安全な方向づけをされました。エジソンの「失敗ではなく、一万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」に通じているかもしれません。

フィリピの信徒への手紙 4章5節では、
「あなたがたの広い心がすべての人に知られるようになさい。主はすぐ近くにおられます。」とあります。インマヌエルの神がいてくださるということです。
 わたしたちは、まず自分を信頼することからはじめ、常識から解き放たれること、難しい問題があるとき「広い心で」逃げないで向き合うことをしていきましょう。5センチ 開いていた心の窓を6センチ開けてみる、愛の習練をしてみる。この気持ちで今年の残り11か月を過ごして 行きたいものです。