ペンテコステ(聖霊降臨日)礼拝  
「 小さな存在、大きな働き 」 マタイ5:15~16

「あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい」 16節

 本日は聖霊降臨日(ペンテコステ)です。
 2000年以上前の聖霊降臨の出来事は使徒言行録の2章に記されています。
 イエスは復活後しばらく地上で弟子たちと過ごしたあとに天に帰られました。その後の素晴らしい出来事が聖霊降臨でした。国や民族が違っても集っている人々が通じ合えたということが、記されています。同じような出来事は時代を超えて、あちらこちらで起きたであろうことは予測がつきます。翻ってわたしたちはどんなふうに聖霊を理解、体験しているのでしょうか?

 先月から始まったヴィクトール・フランクルを紹介する番組で解説の役目を担っている小野正嗣さんに注目したいと思います。

 大分県の佐伯市の蒲江の「浦」と呼ばれる小さな集落出身の小説家(芥川賞・早稲田大学教授)です。彼は「郷里そのもの」だった浦の社会で他者に喜びを与えた不器用であった今は亡き兄を中心に小説を書いています。暖かい家族の愛の中で育まれたようです。

 フランス留学で「歓待」という姿勢を学び、弱く小さな存在に対する視線を保っておられます。日本の小さな集落出身の人が、このような働きを文学をとおして果たしておられる姿に感動を覚えます。

19日の早朝に放映されたヴィクトール・フランクルの2回目の番組は「苦悩を生き抜く」 というタイトルでした。フランクルが生きる意欲が無くなりそうな厳しい収容所で渡された誰かの使い古しのコートのポケットの隅には「なんじのすべての力をかけて神を愛せ」と書かれたメモがあったと言います。絶望の中で人間性に対するゆらぎない信頼を保って行けたのはそこに聖霊が働いたとしか言えません。

押し潰されそうな状況においても、前向きに生きるとき、考えられないような大きな働きが展開していくことを教えられます。ペンテコステはそのことを忘れないで生きることを私たちに促しているのでしょう。