「 先駆者 パイオニア 」 Ⅱコリント4:16~18

「 わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。」18節

 人は見えるものに注目するものです。普通見えないものに目を注ぐ人がいるとおかしな人と思われます。

 しかし、見えるものだけが価値あるものではないことを、宗教、哲学、芸術は追い求めてきました。そして、「見えないもの」に目を注いだ人は歴史上もたくさんいます。
信仰を持つということはこのようなことを可能にするのです。 パイオニアとは先駆者のことで、未知の領域に踏み出す人を指します。

エリザベス・キューブラ・ロスのことを紹介します。死と向き合うことを公に取り上げた先駆者であり、エイズ患者のケアや引きこもりの支援にも積極的に関わりました。彼女は物質主義を否定し、苦悩や困難を成長のための贈り物と捉えた。信仰の力を信じ、全身全霊で生きることの重要性を説きました。「死ぬ瞬間」以外にも20冊以上の著書があります。  
2004年、78歳で帰天しましたが、50歳くらいまでの彼女の医学に対する働きは初めは異端児と思われていましたが、その偉業は雑誌「ライフ」の表紙に載るほどに知られました。

 ただその後はマスコミからは忘れられたようになりました。その理由は「見えない」世界に踏み込みすぎたとみられたからです。
 帰天して20年、いまや世界はあの世とこの世のことは神秘主義的な観点と科学の裏付けで、いかがわしことではなくなりました。死と生についてのあくなき追求をしてきたエリザベス・キューブラ・ロスの壮絶な人生は言葉とおりの先駆者です。
 神の無条件の愛を信じて行動した彼女の足跡は自伝の「人生は廻る輪のように」と最後の共著「ライフ・レッスン」などの著書によって知ることができます。
 彼女の弱い立場の人への思いやりと素早い行動力は医療はもちろん、人間の存在そのものへの永遠の関わり方を後の人たちに力強く伝えてくれています。