「ガリラヤから始める」( マルコ1:14~15 )

 ヨハネが捕らえられた後、イエスはガリラヤへ行き、神の福音を宣べ伝えた。(14節)

 ヨハネによってヨルダン川で受洗したイエスは、ヨハネの殺害を知り、時が来たことを知り、ガリラヤへ向かいます。ガリラヤはどんなところか。一般の人びとの暮らしは農業で、女たちも貧しい生活をしていました。イエスは木工職人の父と共に、ナザレを生活の場としていました。仕事の関係で、そこから少し遠くの豊な街、セッフォリスやティベリアスに行き来をしていました。 

ゆえに貧しい人々の生活と豊かな人々との両方を観ていました。人々の格差のある厳しい現実を観察して考えることが多くあったことは否めません。 

新型コロナウイルスの封じ込めを世界で一番早くに成し遂げた台湾はオードリー・タンさん(30才の台湾デジタル担当政務委員(閣僚))の存在抜きにしては語れません。この方は優れた頭脳の持ち主だけでなく、トランスジェンダーであることも公にしました。透明性と正直さを大切な要素としています。「何にもキズがある、その隙間(すきま)、そこから光が射す」とも言いました。

イエスは隙間をよく知って育ったのです。そして中心に考えたのは貧しく、疲れた人々でした。翻って現代の隙間(哀しみを知ること)を見ている若い世代の女性の出現を祝いましょう。

バイデン大統領就任式の詩を詠んだのは、ロサンゼルス出身の詩人アマンダ・ゴーマンさん(黒人女性、22才)です。「私たちがのぼる丘」の一部を紹介します。

日が昇ると、私たちは自問する、この終わりのない陰のどこに光を見つけることができるのだろうかと。私たちは損失を背負いつつ、海を渡らなければならない。私たちは果敢に、窮地に立ち向かい、静けさが必ずしも平和だとは限らないことを学んだ。そして、夜明けはいつのまにか私たちのものになっていた。私たちは、国が壊れているのではなく、単に未完成であるのを知り、乗り越えてきた。私たちは国の後継者だ。そこでは、奴隷の子孫でシングルマザーに育てられた痩せっぽちの黒人の少女が、大統領になることを夢見ることができ、そして気づけば大統領のために詩を朗読している。(中略)この終わりのない陰のどこに光を見つけることができるのだろうかと。(中略)私たちがこの時代に応えようとするのであれば、勝利は刃ではなく、私たちの作ったあらゆる橋にあるのだ。それが、私たちがのぼる丘の約束だ─ただし私たちが果敢にのぼりさえすれば。

私たちのガリラヤも遠くにあるのではなく、ここであることをコロナ時代に確認しつつ歩みましょう。いつも愛なる神を信じて。