「 まことの権威 」 マタイ７：２８～２９
「彼らの律法学者のようにではなく、権威ある者として お教えになったからである。」 29節
２９節 まず、権威とは 「権威」の意味は①「他の者を服従させる威力。」です。それも、より深 く中身を掘り下げると、「物理的強制によるではなく命令の正しさ（正当性） を服従者に納得させる時に生じるもの」という意味になります。 ②「あるの分野において優れたものとして信頼されていること。」 イエスが「権威ある者」として語られた、とあるのは当時、ユダヤ教の教師 は知識をひらけかし、多くを語っても、権力を振りかざしても、権威ある者 としては民衆が心の耳を開けることをしなかったゆえです。 現代において権力無きものが権威ある形で語るこころに響くできごとがあ ります。
世界中を飛び回り、貧困や難民の問題について発信を続けるフォトジャ ーナリスト・安田菜津紀さん。先日ハートネット TV でも紹介されました。 今、日本で生きる外国にルーツを持つ人たちに取材した新刊を準備している。 安田さんを突き動かすのは、出自を明かすことなくこの世を去った在日コリアン の父親の存在。入管施設でスリランカ人女性が亡くなった問題やヘイトスピーチ などに目を向け、差別を生まない社会のあり方を模索する安田さん。 もうすぐ、日本で生きる外国ルーツを持つ人たちに取材した新刊が出る。「あな たのルーツを教えてください」 分断の先に見つめる「共にいきること」がテー マ。１５人を取材した。また、今自身に向けられた差別に対して黙することなく、 訴訟を起こしています。
もう一人、伊藤詩織さん。ご存知の通り合意の無い性暴力被害を訴えたジャ ーナリスト。高裁でも勝訴した。なかなかここまで自らを晒して、裁判に訴える ことは容易なことではない。
このふたりの例は、一昔では被害を受けたまま黙していなければ生きて行けな いことでした。 まことの権威とは、上の①②にとおり、自分の尊厳を守り、なにが自身にとっ ても社会にとっても、これから続く若い人たちにも大切なことであるか、を身を もって現すことに他なりません。
言い換えると「愛の権威」となるでしょう。自他を愛し、この世を暴力、差 別、抑圧で支配する者のなすがままさせるのではない、神の国の意志が地に現れ るようにとの祈りの勝利のプロセスではないでしょうか。
