「 虚無感の克服 」 マタイ7:7 ~12

「 求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。」 7 節

よく知られた聖句です。なので、かえって、立ち止ってあまり注目しなくなっている。
求めても、探しても、門をたたいても、何も手に入らないという人は多いのではないでしょうか。昨今のような大変な世の中で、この聖句が色あせてしまっているようです。
コロナ禍も戦争も。就職難も一度にやってきていたら、虚無感に苛まれるのは仕方ないかも知れません。
特に若者たちは閉塞感に覆われて鬱々とした日々を送らざるを得ないでしょう。
この「虚無感」というタイトルの本でV.フランクルは「若者の実存的空虚と呼ばれる状態は神経症の症状ではない」と言っていることを紹介します。
『 人生にどんな意味も見出せないような若者に対して、少なくとも今すぐにではなくても、為されなければならないことは何か。若者は、実存的空虚と呼ばれる状態は神経症の症状ではないということに気づかされるべきです。実存的空虚の状態は、恥ずべきものではなく誇りにすべきものであり、人間が達成したものです。人間存在に固有の意味があることを当然だと思うことなく、いろいろなことを試し、冒険し、疑問を抱き、実存の意味という問題にチャレンジすることは、なによりも、若者の特権なのです。』 207 頁 優しい語り口です。
去る25日(月)に故榎本てる子さんの帰天4周年の Celebration of Iife*4にzoomで参加ししました。
周辺に追いやられている多くの人々の友人となり、牧師としての神に向かう姿勢は今も多くの人々に息づいていることの確認の日となりました。
膠原病で道半ばで天に帰らざるを得なくなった苦しみの中で、とくに終盤のfacebookを使用してご自分の病のことを逐一明らかにしつつ、数多く知れない人たちに勇気を与えた生き方は、これぞ、文字通り体を張った宣教だと、読む者にいい知れない感動、感激を与えました。
それらを含め「愛し、愛される中で:出会いを生きる神学」日本基督教団出版局)という本が生まれました。
この出版に尽力をなされたAさんが、今、私たちの群れにおられることの不思議さに驚きと感謝を禁じえません。
門を叩き続け、その結果自分に開かれただけでなく、そこから、死してもなお、広く、高く、深く、神の愛の種を、撒かれ続けている奇跡を改めて感じさせられています。じっくり読む必要のあるご著書です。